研究紹介

最新の研究テーマ

本研究室の主な研究テーマをご紹介します.

1.マイクロ波原子間力顕微鏡(M-AFM)の開発

ナノテクノロジーの発展により,原子レベルで物質を観察,評価する技術が必要不可欠となっており,現在様々な測定技術が開発され実用化されています.しかしながら導電率などの電気的特性及びその変化分布を定量的に評価する技術は,次世代デバイスの開発や生体組織の分析など様々な分野で求められています が,未だ実現できていない状況にあります.この問題を解決すべく,Siに比べていくつかの優れた特性を持つガリウム砒素(GaAs)を用いた原子間力顕微鏡(AFM)プローブを作製します.この技術を応用して,将来的にナノスケールで物質の電気的特性の評価が期待できます.

AFMの原理表面形状像電的気特性像
AFMの原理表面形状像電的気特性像
GaAsカンチレバーのSEM写真
GaAsカンチレバーのSEM写真

2.機能性ナノワイヤ面ファスナーの創製および性能評価

金属ナノワイヤは優れた機械的・電気的特性,また接着能力といった特徴を持っています.それらの金属ナノワイヤ特有の能力に注目し,本研究室では室温での接続を可能する新規表面実装技術として,金属ナノワイヤ面ファスナーを提案しています.従来のはんだとは異なり,加熱を行うことなく電子部品の接続が可能です.さらに,金属ナノワイヤ面ファスナーは高融点の金属ナノワイヤで構成されており,優れた耐熱性もあります.本研究では,高密度,高秩序の金属ナノワイヤを有するナノワイヤ面ファスナーの創製および評価手法を確立することを目指します.

ポーラスアルミナテンプレート観察写真
ポーラスアルミナテンプレート観察写真
高密度金属ナノワイヤの観察写真
高密度金属ナノワイヤの観察写真

3.ストレスマイグレーションによる半導体ナノ構造体の創製と評価

半導体ナノワイヤは,次世代の太陽電池やナノデバイス集積回路としての応用が期待されています.ナノスケールの微細構造物の形成法として,原子や分子レベルの要素を組み合わせるボトムアップ技術に注目が集まっています.本研究では,熱応力の勾配を駆動力として拡散させた原子を,特定箇所にワイヤ状に再配列させて,半導体ナノワイヤを作製します.さらに作製した半導体ナノワイヤの機械的および電気特性を評価し,新しい利用価値を生み出すことを目指します.

高密度ナノワイヤ
高密度ナノワイヤ
ヒロック上の長ナノワイヤ
ヒロック上の長ナノワイヤ

4.金属表面上の疲労き裂の修復に関する研究

機械構造物の破壊事故の約80%は金属疲労が原因と言われています.浸炭や窒化,高周波焼入れ,ショットピーニングなどによる,疲労強度を改善しようとする研究は多くなされてきましたが,金属材料の疲労き裂修復や進展抑制を図る技術は未だに確立されていません.本研究では,金属材料疲労き裂に近接端子を用いて,き裂先端に電流集中を生じさせ,高密度電流場制御による電子エネルギー的作用を利用したき裂の修復・進展抑制を図り,そのメカニズムを明らかにすることを目指しています.この技術の実現により,構造物の長期信頼性を格段に向上させることが可能で,メンテナンスコストの削減や環境負荷低減といった効果をもたらすことができます.

ステンレス鋼の疲労き裂修過程
ステンレス鋼の疲労き裂修過程
機械構造物の破壊事例の原因別分類
機械構造物の破壊事例の原因別分類