宇宙・真空とマイクロ・ナノスケールの熱流動現象は全く関係なさそうに見えて共通点があります.それは分子の運動として考えなければならず,流体力学や伝熱工学などで学ぶ通常の環境の熱流動と異なるという点です.そして,特異な興味深い現象も数多く見られます.ただ,分子を捉えるのは簡単ではなく,その計測は困難を極めます.
本研究グループでは,想像力を駆使しながら,マイクロ熱流動の特性解明とそのデバイス応用を目指して研究しています.得られた知識は宇宙や半導体製造でみられる真空環境でも利用することができます.
Research Topics
高クヌッセン数流れにおいては,流体中の分子は他の分子と衝突するだけでなく壁面境界とも無視できない数の衝突をします.さらに,マイクロスケールの気体流れにおいては体積に対して表面積の割合も大きくなります.そのため,どのような熱流動場となるかには境界における気体分子と固体表面との相互作用が大きく影響します.相互作用を詳しく解析することにって,熱流動場の理解を深め,応用へとつなげていきます.
Interaction between Thermal Fluids and Surfaces: Boundary Condition for High Knudsen Number Flows
気体分子と固体表面の相互作用を個々の気体分子の観点から見直してみると,固体表面に衝突して散乱する過程として考えることができます.
流動抵抗は運動量の輸送,熱はエネルギーの輸送に関係するため,上の研究で求めてきた値を用いることで,固体における境界条件を明らかにすることができます.
本研究グループは流れと熱に関する実験を両方行うことができる希少な研究グループであり,これらの実験から境界条件のパラメータを明らかにすることを試みています.