レーザー誘起蛍光法(LIF)を用いたマイクロ気体流れの可視化計測Research

 マイクロスケールの気体の流れについて詳細を明らかにするためには、流速分布を計測することが望ましい。しかし、実験的計測はスケールが小さいことから容易ではない。さらに、マイクロスケールの気体流れでは流体を構成する分子が他の分子に衝突せずに自由に移動できる平均的な距離である平均自由行程が系の長さと比べて無視できなくなるため、分子の運動として流体を捉える必要がある。そのため、分子の運動に基づく情報を取得できる手法であることが求められ、計測を一層困難にする。このような計測においては、光を用いて分子の情報を取得する非接触計測が有望である。手法の選定においては、同様に流れの希薄度を表現する無次元数であるクヌッセン数が大きくなる高クヌッセン数流れに分類される低密度流れに対する計測技術が参考となる。

 そこで、分子を可視化して移動を追跡することにより速度分布を求める分子タギング速度計測法(MTV)を採用し、マイクロスケールの気体流れにおける流速分布の計測を実現した。ある時刻にある位置でのみ周囲の流体分子と異なる分子を作り出す(タグ付け)ことができれば、その分子をトレーサーとして追跡することによって流速を計測することが可能となる。そのためには、非接触な手法により他の分子から生成でき、かつ検出できる分子種が必要となる。ここでは、低密度気体流れでレーザー誘起蛍光法(LIF)により計測されてきた一酸化窒素(NO)に着目した。タグ付け手法としては二酸化窒素(NO2)の光解離を利用した。ある時刻にレーザー光を照射した範囲でのみNO2からNOを生成し、そのNOの移動を追跡してLIFにより可視化することにより、MTVが実現できる。その結果、管内流れにおける断面内速度分布の計測に成功し、理論解析ともよく一致した。現在は、更に微小領域での複雑な流れ場の計測の実現を目指している。

NO2の光解離を用いた管内流の分子タギング速度計測

関連論文

  • 矩形管内気体流れに対するMTVの適用 , 山口浩樹,中嶋悠貴, 山口顕央, 松田佑, 新美智秀 , 可視化情報学会論文集, 32(6), 15-20, (2012)

関連受賞

  • 可視化情報学会 学会賞(論文賞) , 2013年, 可視化情報学会

関連助成

  • 高クヌッセン数マイクロ流れの多次元多変量複合同時計測 , 基盤研究(A) , 2009年04月 ~ 2012年03月

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