単一粒子計測法を用いたミクロな流体現象の計測Research

 排ガスの浄化装置などの触媒層への応用へ向け,多孔質体や高分子膜の開発、高機能化に関する研究が盛んに行われている。本研究室では、これらの材料が構造としてもっている微小空間(孔、隙間など)での物質輸送特性に関する研究を進めている。これらの物性評価は、核磁気共鳴、X線反射率法や中性子反射率法などによって主に行われている。しかし、例えば、核磁気共鳴は数十μmの空間分解能であり、検査体積中に多くの分子を含み、その計測値はアンサンブル平均されるため、個々の分子のスケールのミクロな情報を得ることができない。そこで本研究室では単一分子計測法(SMT: Single Molecule Tracking)を用い、多孔質体や高分子膜内でのnm~μmオーダーのミクロな構造や挙動の理解を目指して研究を行っている。一方、実際に機器に搭載して使用するさいにはmオーダーでの挙動が重要となるため、nm~μmとmの108倍のスケールの違いをつなぐ物理モデルの構築まで視野に入れて研究している(一部、大幸財団による研究助成)。

 これまでに高分子膜の硬化過程で、数十~百nm程度のスケールの不均一な粘性分布、すなわち構造不均一性が存在することをSMTにより明らかにしている。他にも、SMT計測時において、プローブ分子の流体力学的な異方性を検出する手法についても研究を行っている(一部、日揮実吉奨学会による研究助成)。

SMT計測結果例
上:取得画像例
下:1粒子軌跡を抽出表示

 SMTはその名の通り、プローブとなる分子1つ1つの運動を時間追跡してカメラで撮影し記録することで、多孔質体や高分子膜内での分子熱運動を分子スケールで解析可能とする計測手法である(図参照)。

関連論文

  • Y. Matsuda, R. Iwao, H. Yamaguchi, T. Niimi, Single particle tracking study on diffusion process in a polymer matrix, International Symposium on Micro-NanoMechatoronics and Human Science (MHS2014), 2076(2014).

関連助成

  • 単一分子計測による高分子膜中でのナノ分子挙動とマクロに発現する熱力学的性質間の関係の解明,大幸財団 自然科学系学術研究助成,2015年10月~2017年3月
  • 単一分子計測法における異方性検出手法の開発,日揮・実吉奨学会研究助成,2015年9月~2016年9月

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