研究

理念

わたしたちは、真に社会に役立つ人間支援機械の研究開発を通して、新しい学際分野「安全知能学」を創造して行きます。

ハイライト・ムービー

研究テーマ

装着型ロボット

ロボット装着時の転倒リスク軽減
ロボット装着時の皮膚創傷に対する安全性評価方法
ロボットと人体の関節不整合によるリスク
装着型ロボットを用いたシルバー・シミュレーション

次世代生産技術のための人間・ロボット協調系

人間とロボットの協調作業を目的とした電波式センサによる人間存在検知性能の調査
ロボットによる眼への危害の回避可能性を見積もるための人間の回避動作特性
人間の回避動作を考慮した人間・ロボット衝突シミュレーション
眼部に迫る鋭利な機械的危険源を対象とした眼部衝突実験による重篤度調査
生産現場にでの人間・ロボット共存系のための安全ビジョン

臨床ロボティクス

理学療法士養成を支援する装着型関節障害ダミー
理学療法におけるストレッチング手技の分析
移動ロボットによる高齢者のための転倒防止アシストについての研究
深層強化学習に基づく移動ロボットを用いた高齢者のための転倒リスク低減

ハプティクス

タップによる硬さ知覚の原理解明とそのVR応用
ヒトはなぜ触れてみたくなるのか?「触れてみたさ」の解明
人の触覚体験の多階層・多次元モデルを構築する技術
テクスチャの材質感次元構成の特定
感覚と運動の予測的関係を利用したヒューマンインタフェースの実験的検証
力知覚における皮膚感覚と深部感覚の統合

触感ディスプレイ

タッチパネルのための触感呈示技術
素材の触り心地を生成するバーチャルリアリティ技術
本物の素材の触感を変える触感操作技術
足裏への触覚呈示技術 -踏み心地の生成-
バーチャル・バンプ(凹凸)の力覚モデルと呈示

研究倫理

研究実演のための安全・倫理ガイドライン

Safety of Wearble Robot: 装着型ロボットの安全性

ロボット装着時の転倒リスク軽減

高齢社会において、装着型パワーアシストロボットによる歩行補助による、障がい者、 高齢者の生活圏の拡大が期待されており、そうした歩行アシストロボットの開発が進んでいます。 しかし、アシストロボットが装着者の意図と異なる動作をした場合、その力の大きさ、 タイミング等によっては転倒を招く恐れがあります。

本研究では、実験用に装着型歩行アシストロボットを製作し、 実験及びシミュレーションを通して歩行時の意図せぬ動作が装着者に与える影響を検証し、 安全なアシスト方法の研究を行っています。

発表論文: [日本語], [英語]

ロボット装着時の皮膚創傷に対する安全性評価方法

装着型パワーアシストロボットによる歩行補助によって,高齢者や障害者のQOL向上が見込まれます. しかし,アシストロボットは人に密着・固定して使用するため,「カフ」と呼ばれる人との固定部分において, 水疱や擦過傷といった創傷を招く恐れがあります.

本研究では,人の皮膚特性を模擬したダミーに対し,アシストロボットの使用によって生じるカフの運動を再現することによる, 創傷に対する安全性の評価方法の開発を行っています.

発表論文: [日本語]

ロボットと人体の関節不整合によるリスク

装着型パワーアシストロボットによる、障がい者、要介護者のQOL向上や労働者の生産性向上が期待されています。 しかし、こうしたロボットは装着者に密着させて使用するため、安全性への特別な配慮が不可欠です。

本研究では、装着型ロボットと人体の機構学的不整合によって装着者に生じる負担に注目し、 人体の特徴を模擬した下肢ダミーの開発と、それを用いた装着型ロボットの安全性評価方法の検討を行っています。

発表論文: [日本語], [英語]

装着型ロボットを用いたシルバー・シミュレーション

膝関節症のような運動機能障害を有する人達にとって優しい社会を築くことが,社会の持続性にとって重要です. 障害を有する人々が被る身体的負担及びリスクを倫理的問題を回避しつつ系統的に調査する方法が, 装着型ロボットによるシルバー・シミュレーションです.

健常者がロボットを装着し,ロボットの制御ことにより,モデルとなる運動機能障がい者のような振舞を実現します. ロボットおよび制御アルゴリズムの開発,シミュレーション方法の開発研究を行っています. 図は,右膝関節に関節症を有する人の階段の昇降および椅子への着座起立を模擬した様子です.

発表論文: [日本語], [英語1], [英語2]

次世代生産技術のための人間・ロボット協調系

人間とロボットの協調作業を目的とした電波式センサによる人間存在検知性能の調査

セル生産式現場での人間とロボットの協調作業において生産性と人間の安全を確保するため, 人間にとって身体的負担がかかる反復的でシンプルな作業などをロボットに任せ,人間は比較的に複雑な作業を行う (ワイヤハーネス,樹脂部品の取り付けなど)ことが必要であります. その際に,人間存在機能を搭載したセンサを用いて, 人間とロボットを分離させないコンパクトで効率的な現場の実現を目標としています。

発表論文 [日本語]

ロボットによる眼への危害の回避可能性を見積もるための回避動作特性

製造業などの現場では、人間とロボットが協調して作業する生産システムが期待されています。 このようなシステムを実現するためには、人間側のリスクを正確に見積もる必要があります。

そこで、心理学実験を実施し、ロボットのエンドエフェクタ(腕の先端)が人間の眼部に向かって突然接近する際の 人間の回避動作の特性について調査を進めています。

発表論文 [日本語], [英語]

人間の回避動作を考慮した人間・ロボット衝突シミュレーション

生産現場の設計において、危害を回避または軽減できる可能性、いわゆる回避可能性は、 無視されたり感覚的に見積もられたりする傾向にあります。 そのため、人間・ロボット共存システムでのリスクは必ずしも合理的に見積もられていません。

そこで、心理学実験で計測した人間の動作を用いた人間・ロボット衝突シミュレータを提案しています。 シミュレーション結果に基づき、人間・ロボット共存システムにおける安全条件を見積もることができます。

発表論文: [日本語], [英語]

眼部に迫る鋭利な機械的危険源を対象とした眼部衝突実験による重篤度調査

人間とロボットが協力して作業する生産システムの実現を目指し、人間側のリスクを正確に見積もるための研究をしています。 ロボットの鋭利な腕の先端が、重篤な傷害になりやすい人間の眼部を襲うという想定状況の下、 人間の顔をそむけるなどの回避・軽減動作を考慮した眼部衝突実験を実施し、重篤度を調査しています。

発表論文: [日本語], [英語]

人間・ロボット共存系における安全ビジョン

生産現場において、人間とロボットが隣接し、安全に協調作業ができるように、 人間の侵入や、ヒューマンエラーを確実に検知できるビジョンシステムの実現を目指しています。 特徴として、安全確認のためのマーカなどを壁や床に設置する必要がありません。 したがって、移動したり、作業領域を変えたりするロボットにも使用可能です。

右図は、安全確認型ビジョンシステムの一例です。 ロボットが監視する作業エリアの中に、 人間の身体部位が侵入すると、危険な状態にあることを検知します。

発表論文: [英語]

臨床ロボティクス

Wearable Dummy: 理学療法士養成を支援する装着型関節障害ダミー

理学療法士(PT)の徒手検査技術の習得を支援するために、 さまざまな症状に伴う関節抵抗を模擬する関節障害ダミーを開発しています。 このダミーは人間が装着するタイプになっているため、学習者は人体の複雑な関節動作および、皮膚や骨の特徴 などの人間らしさが保たれた環境で学習を行うことができます。

これまでに、痙性麻痺や内反尖足を模擬してきました。 障害のある関節の症状を物理モデルで表し、アクチュエータを制御することで、 それぞれの症状特有の反力パターンや抵抗力を模擬しています。

発表論文: (膝) [日本語], [英語] (足) [英語]

理学療法におけるストレッチング手技の分析

理学療法士の徒手手技は伝承や規格化が難しいことで知られています. そこで,手技を分析し,向上に資するための解析技術を開発しています.

モーションキャプチャや力・トルクセンサで計測された多変量の時系列データから運動を分析する技術を開発しており, これを写真のような,麻痺患者の足部を理学療法士が治療する徒手手技の分析に用いています. これは療法士の手技のばらつきを特定することを可能とし,効果的な手技の標準化に資することを目的としています.

発表論文: [英語], [日本語]

移動ロボットによる高齢者のための転倒防止アシストについての研究

増加傾向にある高齢者の事故削減のために,主要因である転倒転落について,統計データから傾向,要因及びトリガを分析した結果を基に, 移動ロボットを活用したリスク低減方策を提案します.事故発生の法則として「事故は変化要因の下で発生する」という仮説を提示. 事例として,主要因の一つである液体によるスリップ転倒事故防止のために床面状態検出機能を備えた移動ロボットにより高齢者をアシストする場合について検討し, 仮説検証に向けて実現性を評価しました.

発表論文: [日本語]

深層強化学習に基づく移動ロボットを用いた高齢者のための転倒リスク低減

スリップ起因の転倒は、高齢者にとって主な重大な骨折要因です。 本論文は、高齢者のための深層学習に基づく移動型アシストロボットによる転倒リスク低減方策を提案します。 DCNN(Deep Convolutional Neural Network)を転倒リスク分析に用い,深層強化学習をロボット制御に適用することで、 スリップ起因の高齢者の転倒リスクを削減します。 本手法は,別の要因による転倒事故や他の事故の場合にも適用可能なものとなっています。

発表論文: [英語]

Reinforcement learning for risk reduction for the elderly

Haptics

タップによる硬さ知覚の原理解明とそのVR応用

ヒトは物体の表面を軽く叩く(タップする)ことによって,物体の硬さを知覚しています. しかし,その本当の原理はよく理解されていません. 本研究では,タップによる硬さ知覚の原理を追究し,得られた発見をバーチャルリアリティや, 遠隔操作技術に応用する術を開発しています. これまでに,ヒトはタップによって,物体の硬さ(剛性)のみでなく,粘性も判別していることが分かりました. また,限られたアクチュエータの能力で,より硬く感じられる刺激を提示する方法も発見しています.

発表論文: [英語1], [英語2]

Haptic Invitation: ヒトはなぜ触れてみたくなるのか?「触れてみたさ」の解明

ふと目にした素材についつい触れてみたくなる、そんな体験は誰しもが経験していることです。 本研究では、この触察行動の誘引現象(Haptic Invitation)の由来を解明すると共に、 ついつい触れてみたくなる素材の設計方法の確立を目指しています。

これまでに、素材の物理因子(色や形状等)や材質感因子(主観的な粗さや冷たさ等)の組み合わせによって、 触察行動を誘引する度合を設計する方法を構築しました。 さらに、材質感の際立った素材は特定の触れ方を誘引する確率が高いことを明らかにしました。 つまり、触察行動の誘引現象は、材質感をそれに適した触れ方で確かめさせる行為であり、際立った素材ほど、 触れ方の決定に優位に働くため、触察行動を誘引しやすいと解釈できます。

発表論文: [日本語1], [日本語2], [英語1], [英語2]

人の触覚体験の多階層・多次元モデルを構築する技術

われわれが物に触れると様々な主観的体験を経験します. 例えば,粗い・柔らかい・温かいといった触対象の物理的側面に関する体験 (psychophysical percepts) から, 複雑な・高級感があるといった対象の属性および感性に関する体験 (attribute and affective experiences), 好き/嫌いの嗜好に関する体験 (preference) などがこれらに含まれます. こういった体験は,意味的に多階層かつ多次元の構造を構成します. われわれは,心理学実験の結果から多変量解析技術を用いて,この階層構造を構築する技術を開発しています. この分析技術を用いれば,ある製品の高級感が嗜好やその製品のどの物理特性と関連するかを特定することができます. また,同じ製品に対しても人によって感じ方が異なりますが,そういった個人差分析にも利用できる技術です.

発表論文: [英語1], [英語2], [英語3]

テクスチャの材質感次元構成の特定

われわれが素材の触感を表現するとき、粗い・柔らかい・暖かい・固い・つっぱるなど, たくさんの言葉を用います。 このような質感を表現する情報空間の次元構成はどのようになっているのでしょうか? 特に素材の材質感(質感のうち物理特性に直結するもの)にしぼって、 これらの次元の数及び種類を特定する研究を行っています。

これまでの調査の結果、触感の材質感次元は、 粗さ感・硬軟感・温冷感・摩擦感であるとの結論に達しました。 さらに、粗さ感は知覚メカニズムの明確な違いから、マクロ粗さとミクロ粗さに分けることができます。 したがって、材質感次元の数は5となります。

発表論文: [日本語], [英語]

感覚と運動の予測的関係を利用したヒューマンインタフェースの実験的検証

人の感覚入力と運動生成の間には、予測的な関係があると考えられています。 この関係性に介入することで、人間の運動を操作するインタフェースの研究を行っています。

例えば、右図(左)に示すデバイスを用いて、 紙面などをなぞる運動を行っている人の指腹にせん断変形を呈示することで、 なぞり運動に影響が生じることを確認しています。

発表論文: [日本語], [英語]

力知覚における皮膚感覚と深部感覚の統合

人間の感覚は、複数の感覚器官からの信号を合成して得られています。 指先に加わる力の知覚は、指腹の皮膚感覚と、筋や腱の深部感覚を統合したものです。 それぞれの器官がどのように感覚統合に寄与するかを知ることは、 ハプティック・インタフェースの開発に重要です。 例えば、比較的小さな力のためのインタフェースは、皮膚にのみ力を提示するだけで十分です。 大きな力は、関節に確実に力を伝える必要があります。 その中間的な力は、皮膚と深部感覚の両方に力を伝えなければなりません。 この研究では、複数の実験によって、確度高く、それぞれの器官の寄与率を算出しています。

発表論文: [英語]

触感ディスプレイ

タッチパネルのための触感呈示技術

タブレットPCなどに適したタッチパネル用の触感ディスプレイ技術を開発しています. われわれの手法の大きな特徴は,これまでに本命と考えられている機械的変位刺激 (Vibrotactile stimuli) と,静電気摩擦刺激(Electrostatic friction) を組み合わせた, 高品質な触感刺激を実現していることです.

これまでに,2種類の刺激を併せてよりリアルなテクスチャ(素材表面の触り心地) 刺激を提示することに成功しています. 2種類の刺激を併せた触感呈示技術の原理と追究するとともに, 社会実装に適した応用技術を開発しています.

発表論文: [英語], [ビデオ]

素材の触り心地を生成するバーチャルリアリティ技術

布や木材などの手触りをバーチャルリアリティ技術を用いて再生する技術を構築しています。 機械的な振動刺激を人の指に加えることにより、触感を作り出します。 指と素材の接触による物理現象を模擬したり、錯覚現象を利用したりして、 さまざまな素材の触感を再生する技術の研究を行っています。

発表論文: [日本語1], [日本語2], [英語1], [英語2]

本物の素材の触感を変える触感操作技術

触感ディスプレイ技術を用いれば,本物の素材の触感を操作することも可能です. 例えば,素材を擦る運動に併せて適切な触刺激を指腹の皮膚に与えれば,その素材をより粗く感じさせることが可能です. 右の装置は,木材や紙,皮革などの2種類の粗さ感(細かい粗さ感とマクロな粗さ感)を増加させることができる装置です. この技術は,本物の素材の触感に,軽微な人口触刺激を加えることで,臨場感の高い触感を生成することができるという特長があります. 逆に,手の運動に無相関なノイズ刺激を皮膚に与えておくことで,それがマスク効果となって,素材が滑らかに感じられます.

発表論文: [英語1], [英語2]

足裏への触覚呈示技術 -ぜい弱な構造物の踏み心地の生成-

落ち葉や霜柱など、色々な物体を踏んで破壊するときの刺激を生成するバーチャル・ リアリティ技術を開発しています。

踏み方によって、足に感じる刺激は異なりますが、人は踏み方に関わらず、 踏んだ物体を特定することができます。 そこで、どのような足の動きにも対応し、 その物体の踏み心地を生成する技術を開発しました。

発表論文: [日本語], [英語]

バーチャル・バンプ(凹凸)の力覚モデルと呈示

人は凹凸を指でなぞるとき、凹凸の起伏自体よりも、 凹凸をなぞるときに発生する指腹と凹凸面の相互作用力を基に、凹凸の形状を知覚しています。 この原理を用いれば、起伏のない平面に力場を発生させることにより、仮想的な凹凸を表現することができます。 すなわち、図のX方向に発生する力場を用いれば、Y方向の変位を感じるという錯覚が生じます。 この研究では、よりよい相互作用力モデルを構築し、本物らしい凹凸の生成を実現しています。

発表論文: [英語1], [英語2]

知的機械システム

制動力可変・負作動型電磁ブレーキの開発と応用

本質的に安全かつ、知的機械システムへの搭載に適した電磁ブレーキシステムを開発しました。 本質的安全を実現するため、電力や指令信号が遮断された状態でも制動力を失わないよう、 ブレーキは負作動型としました。 さらに、ブレーキはONとOFFの状態のみでなく、その制動力が可変ですから、 電源遮断の非常時でも緩やかに制動し、安全状態に導くといった知的システムの実現が可能です。 このブレーキは既に幅広く導入されている電磁ブレーキのON・OFFを低周波のPWMで作動させられるように改良したものであり、 現在の機械システムとの親和性が高いことも特徴です。

発表論文: [日本語]